乾燥

丸太の輪切りの断面図

丸太の輪切り(円盤材)は通常、乾燥が進むことで「ひび割れ」を起こしてしまいます。「ひび割れ」は主に以下の要因で発生します。

 

収縮異方性
丸太を輪切りにした時、切断面の半径方向と接線方向(さらに繊維方向)の収縮率の違いがあるため。
含水率の違い
丸太に性質の異なる辺材と心材とあり、それらの含水率に違いがあるため(収縮の始まるタイミングが異なる)。
含水率勾配
含水率が30%を切ると木材の収縮が始まりますが、その収縮は表層から先に始まります。この時、内層はまだ収縮が起こってないため表層には引張りの力が発生し、表面割れの原因となります。

 

丸太の輪切りのひび割れ例の写真

これらのさまざまな要因が重なり合い、ひび割れが起こってしまうのです。しかし樹種により数値も違い、密度にも差があります。きりかぶ⼯房では、薬剤を使わずに『温度』と『湿度』のみの調節、すなわち木材の【乾燥技術】において、この割れを⽣じさせずに乾かす事に取り組み、成功できているものもあります。しかし、前述したように、樹種によって数値が違い、割れずに乾燥できても、その後の使用・管理状況により割れや変形が起こってしまうこともあります。そのため、割れてほしくない大切な素材には塗装する事でより環境変化に耐えられる仕様とする事を基本的にはおすすめしています。きりかぶ工房では、塗装の際には耐久性があり、食品衛生法にも適合している人体無害の安心安全な塗料を使用しています。


年輪

いろいろな丸太の輪切りの写真

丸太の断面は輪っかの連続のようになっていますが、なぜだかご存知ですか? 一年で1つずつ増える。木に年輪があるのは、木の成長によるものです。年輪の色の薄い部分は春から夏にかけて盛んに成長する時期につくられ、色の濃い部分(線に見える部分)は夏から秋にかけてゆっくりとつくられ、冬には成長が止まります。そして、冬の寒さに耐えた木々は、春が来ると物凄いエネルギーでまた新たな細胞を生み出します。その変換を苦しみと表現する人もいますが、季節に応じた成長が、線が幾重にもあるように見える年輪となるのです。このことは、四季や季節にメリハリのある国の木の特徴でもあります。また、年輪を見ると、樹齢だけでなく自然災害や病気など、その木が生きた歴史を読み取ることもできます。

木は何も言わないけれど、しっかりとそこに生きていたということ。

そして、忘れてはいけないこと、私たちが生きていく上で欠かせない、水や酸素や土の環境を保ってくれている木々だということ。

山のお手入れや庭木の剪定で伐採される木々も取扱います。不要ではなく、必要とされるものに。「生き」ていた木が再び皆さまの元でいつまでも大切にされ「活き」ていく事を願って。